Jump to navigation
この時期になると主人は山からミツバアケビの芽を採取してくる。
アケビにも色々種類があるらしいが。採取する場所を聞いて驚きました。それは高速道路と外部を隔てるフェンスの金網に数十メートルの長さで絡んでいるのだと言う。
もともと他の植物に絡まる性質がある。高速道路はこの植物に格好の繁殖場所を提供しているというわけなのですね。
あけびの葉は水を沸かして湯がく、それを数時間水に晒します。少量の味噌と鰹節と共にまな板の上で刃たたきするですが、ほろ苦いあの味は格好の酒の肴のようです。
この枝葉は、活けにくいつる性の植物の中で収まりのよい代表選手なかなか素敵に収まってくれます。
あけびは山形県を中心に栽培が盛んだと聞きます。そういえば、山形の出羽屋という料亭で昔、あけびの詰め物の料理を食べたことがある。肉やきのこの炒めたものが詰まったほろにがい味が記憶に鮮明に残っている。
20数年前お茶で縁で知り合った主人から、紅梅色の美しい茶袱紗を頂いた。
その後子供ができたことなどもありお茶の世界から離れてしまったが紅花で染めた紅梅色の袱紗は、なかなか使われる事なく仕舞われたままになっている。
この袱紗を買い求めた人から、この紅梅色に絹を染める時に触媒として「鳥梅」を使用すると教えられた。
「鳥梅」とかいて「うばい」と読む、未熟な梅の果実を、薫製(くんせい)にしたもので。染物の触媒のほかに
古くから薬として使用されてきました。
和歌山の月ヶ瀬渓谷は昔から梅の名所、日本でただ一箇所「鳥梅」はここでつくられています。梅の実を、籠(かご)に入れ、釜戸(かまど)の煙で黒く燻(いぶ)し、乾燥させて作るといわれている。
私は一度だけ「鳥梅」を見たことがある。ほぼ球状の形。表面は真っ黒でシワがあり、壊れやすい 少し舌に乗せてみたら強い酸味があり、お腹の調子が悪い時などに効きそうな感じがした。
日本のゆかしい伝統技術が次々と消えてゆく、この季節紅梅の花をを見るたびにこの「鳥梅」のことを思い出します
何気なく福島県立博物館で発行した、展示会の資料をめくっていたら 、伊達のお殿様がまだ福島県北部に城を構えていた時代の記述があった。
「タイサンボク」の花の咲く庭で家臣と共に酒を酌み交わしたという記述です。今のタイサンボクは北アメリカ原産で130年ほど前にヨーロッパから移入されたものという。
この時代は戦国の初期、タイサンボクは日本にまだ伝わってなかったはずです。 だとすれば他の花木の可能性があります。
調べていくうちに、それはどうやらハクモクレンのようだとわかりました。ハクモクレンは中国から古い時代に伝わったらしく移入の時期も定かではありません。
我が家の前のお宅にもそんなには大きくはないけれど
毎年春になるとハクモクレンが咲いている。大きな花が戦国の世に、庭に植えられたとしても何の不思議もありません
又朴の木がよくにているから当時そう呼んだのかもしれません。そういえばスペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿にもたくさんのタイサンボクが咲いていた。
伊達のお殿様と家臣がかがり火を焚いて、そのゆらめく光の中にハクモクレンの白い花を愛でたなんて何と素敵な情景でしょうか。
戦場を駆け巡る事しかないと思いがちですが、そんな中にも季節の花を愛でる日本人の奥ゆかしさが偲ばれます